バイプレストレッシング方式(Bi-Prestressing System)とは、“2つの”を意味する接頭辞BiとPrestressing Systemの合成語です。従来のポストテンション方式(あるいはプレテンション方式)とコンクリート中のPC鋼材を圧縮・定着して、コンクリートに引張プレストレスを与えるポストコンプレッション方式を組み合せたプレストレッシング方式という意味です。略してバイプレ方式と呼んでいます。 バイプレ方式の原理をPC単純桁に例をとり説明すると次のようになります。
桁自重
(1)は桁自重による曲げ応力です。実際には、この段階では桁は下から底枠で支えられていますのでほぼ無応力状態ですが、プレストレスの導入により桁が上そりになった状態でこのような曲げ応力が発生します。
ポストテンション
(2)はポストテンション方式によって与えられるプレストレス応力図です。設計荷重作用時に桁下縁に生ずる荷重による曲げ引張応力を打ち消すために、PC鋼材を断面図心より下側に配置し、主として下縁に圧縮プレストレスを与えます。 圧縮プレストレスの導入と同時に桁自重による曲げ応力は合成され、桁の応力分布は(5)のようになります。ここで(5)はプレストレス導入直後のコンクリートの曲げ応力に対する許容値を満足しなければなりません。
ポストコンプレッション
(3)はポストコンプレッション方式によって与えられるプレストレス応力図です。設計荷重作用時に桁上縁に生ずる荷重による曲げ圧縮応力のうち、コンクリートの許容曲げ圧縮応力を越える曲げ圧縮応力を打ち消すために、PC鋼材を断面図心より上側に配置し、主として上縁に引張プレストレスを与えます。 (5)の合成応力にさらに(3)のプレストレスが加わり桁の応力分布は(6)のようになります。ここで(6)は(5)と同様にプレストレス導入直後のコンクリートの曲げ応力に対する許容値を満足しなければなりません。
橋面荷重、活荷重等
(4)はPC桁架設後に載荷される橋面荷重、活荷重等による曲げ応力です。設計荷重作用時では(2)および(3)のプレストレスは、コンクリートのクリープ・乾燥収縮などにより減少または増加します。これを(2)’および(3)’とすると設計荷重作用時における合成応力の分布は(7)のようになります。(7)は設計荷重作用時のコンクリートの曲げ応力に対する許容値を満足しなければなりません。